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“菌”が作り出す日本の芸術~日本酒が目指した到達点

和歌山の幻の日本酒「龍神丸」を飲んだ。

週刊イブニングで連載中で、テレビアニメにもなった「もやしもん」。「菌」の存在を肉眼で見ることができるという不思議な能力をもつ主人公・沢木惣右衛門直保が農大に入学して、“右往左往”する物語で、手塚治虫賞の大賞も受賞している漫画だ。1_2
その中心テーマは、我々の生活における菌の重要性や役割。例えば、日本は発酵文化と呼ばれるほど、発酵食品が日常生活にあふれている。醤油、味噌、納豆、そして日本酒・・・・。そのすべてが「菌」による発酵の結果生まれたもので、味わいや香り、芳醇さ、炭酸のシュワシュワまで、すべて菌の活動によってもたらされている。ちなみにもやしもんとは種麹屋のことを指す。
当然、物語の中でも、様々な発酵食品が紹介される。世界で一番臭い発酵食品といわれるスウェーデンの「シュールストレミング」(ニシンを塩漬けにして、缶の中で発酵させた漬物の一種。缶詰の中でも発酵が進んでいるため、航空機内への持込は禁止。気圧変化による破裂の恐れから)やエスキモーの「キビヤック」(アザラシの腹の中に海鳥を詰め込み、発酵されてドロドロになった海鳥をすするように食べる)など。

日本酒のイメージを覆してくれる絶品の日本酒
そして、第二巻で幻の日本酒として紹介されているのが、「龍神丸」だ。漫画で紹介されてから人気に火がつき、入手が非常に困難になっているが、今年も何とか3本ほど手に入れた。大吟醸と純米吟醸と吟醸の3種類だ。和歌山の高垣酒造が、和歌山酵母という特殊な酵母と高野街道筋に千数百年前に発見された「空海水」を使って“醸した(かもした)”日本酒で、無加水のそのまんま瓶詰、低温貯蔵庫で瓶囲いした生原酒限定品だ。Photo
特に、大吟醸(精米歩合40%まで磨いた山田錦を100%使用)の味わいは格別だ。白ワインを思わせるフルーティーな香りと生酒ならではのしっかりとした味わい。加えてうっすらと緑がかったその透明感が視覚的に味わいを高めてくれる。
まずい日本酒(このまずいというのは味だけでなく、生産方法や流通・保存などの過程を含めてまずいという意味)によって、日本酒嫌いになっている人にはぜひオススメ。こういう日本酒が本来の日本酒だったともやしもんにも書かれているが、生産効率や保存性、流通都合などから味わいより“売りやすさ”を重視した日本酒が一般化された現在では、龍神丸をはじめとしたいわゆる“地酒”が一部のファンの間でしか共有されてないのは悲しい現実だ。日本酒党として私見も入ることは否定しないが、日本酒の味は非常に複雑で深く、科学的に言えば菌が発酵して作り出したアミノ酸や有機酸などの代謝物が深い味わいとなっている。蒸留酒のようなくっきり感はないが、様々な旨みと香りが味わい深さとすっきりさを両立した飲み口を実現している。日本の発酵文化と食文化のある種の到達点が、ここにあると思う。
今年の龍神丸の販売はほとんど終わっているが、和歌山のいくつかの特約店が通販でも売っているので、日本酒が好きな人も苦手な人も来年トライしてみてはどうだろうか。

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